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なぜいは当たる?

ラぺリンングと逸脱

 なぜ占いは当たるのでしょうか。それは当たるのではなく、当てられているのです。いや、当たるように、し向けられるのです・・・

○アラン「先生が生徒の能力を低く評価すると・・・」
 状況が他者によって定義される→ラベリング

<ラベリング理論の命題>



1.人が逸脱者というラベルを張られるのは、逸脱行為のゆえにというより、社会的マジョリティによって定められた同調・逸脱に関するルールが悉意的に適用されたためである。従ってこのラベルは、とりわけ社会的弱者に対して適用されやすい.(セレクティヴ・サンクション)

2.人は、他者によって逸脱者というレッテルを貼られ、他者から逸脱者として処遇される事によって、逸脱的アイデンティティと逸脱的生活スタイルを形成する.(アイデンティティ形成)



○日常、絶えず他者に評価(サンクション=s)
    「僕のこと、どう思っている?」「いい人ね。」
 ところで、具体的評価(s)と具体的行為(パフォーマンス=P)は正確に対応しているか

 cf.新聞投書(授業時に提示)
  伝統的実習主義者:不良行為(p)→不良少年のラベル(s)
  ラベリング論者:勢力を持つ側が、社会的弱者(マイノリテイ、スラム、貧困、「欠損家族」・・・)に恣意的にラベルを貼る
  ・逸脱行為をしながらラベル回避に成功している者「隠れた逸脱者」の存在
  ・逸脱行為をしていないのに逸脱者の濡れ衣を着せられている者の存在

○あらゆる人間関係はPとSの絶えさるフィードバック過程
                   (P1→S1→P2→S2→P3・・・)
 文化的・社会的・心理的・生理的等々多様な要因→非行(P)→評価(S)
                      ↑
               ほんまか S→Pもあるんちゃうんか(ラベリング論)

 他者から押しつけられたペルソナがパーソナリティとして定着←予言の自己成就

 逸脱者という地位は人種上の地位と同様、主位的地位(主たる地位)
            ↓
  逸脱的な特性を一つでも持つ者はあらゆる点で危険な人物と見なされる

  逸脱的特性|非逸脱的特性
            ↑
           他者はこの側面を見てくれない
                  ↓ 
  逸脱者としての役割を演じたときのみ他者との相互作用が可能
               ↓
  逸脱者の自己観念は、自分について他者がいだくイメーシの中に封じ込められてしまう
               ↓
  (伝統的)集団への参加が拒まれる・日常的相互作用からも閉め出される
               ↓
  最終的に、他者の押しつけたラベルを受け入れることによって逸脱的アイデンティティが形成される。

 ・このプロセスは、一度作動し始めると取り消しの効かない非可逆的過程
            ↓
  個人が正常な地位に戻るのはきわめて困難であると仮定されている。

 Cf.「ピグマリオン効果」(ローゼンタールほか)
     優秀な児童だという教師の思いこみが、児童の成績を向上させる
   「自己観念論」(レックスほか)
     まじめな良い子だという「重要な他者」の評価故に、良い自己観念が形成され、その自己像が非行を抑止させる要因になる


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