高度諸費文化と自己愛型
ラッシュ  ボードリヤール


限界的特殊化と他人指向型

• D.リースマン
• 20世紀半ばのアメリカ
• 「製品差」 product differentiation
• 他社の製品とのほんの僅かな差
     ↓
• パーソナリティの限界的特殊化(marginal differentiation) →他人指向型

ナルシシズム型社会的性格へ
• C.ラッシュ
 • その後のアメリカ=自分自身のためだけに生きようとする

産業社会から消費社会へ
• 生産力の向上 大量生産・大量消費→労働疎外
• 商品広告 →購買欲
• 都市の労働者 →消費者へ
• 人々の関心 生産から消費へ
• 妻や子ども →有力な消費者に

記号の消費
• 製品間の品質の均質化
• 表面的な記号の差異の消費 Ex.ブランドブーム
• 絶対的価値や意味の喪失

ボードリヤール 差異の消費
• 「消費される物になるために、物は記号にならなくてはならない」
• 消費されるのは関係であって物ではない

ボードリヤール「最小限界差異」
• 「どんなに要求の多い女性でも、メルセデス・ベンツがあれば個性的な好みと欲望をきっと満足させられるにちがいありません!」
• 「本当に自然なレシタルのヘア・カラーを使うようになってから、私は変わったのかしら。いいえ、今までよりずっと本当の私になったのです」
• 自分を「本当の」自分にしてくれる差異

「個性化された」ナルシシズム
• それまで個人を特徴づけていた現実的差異=人々をお互いに相容れない個人としていた
                 ↓
• 「個性化する」差異=モデルに収斂
   ↓
• コードを共有しつつ最小限界差異によって生じる
• 最小限界差異によって生まれる「本当の自分」を夢みること=「個性化された」ナルシシズム=個人の独自性の享受ではない

消費社会とナルシスズム
• 商品の表面的印象とイメージ
• 人の自己と表面との区別がつかない
• 商品のファンタジーにとり囲まれる
• 主体も実在もない世界
• 世界と自己の区別がない(世界との同一化)
  ↓
ナルシスト的自己

「ナルシシズム型」社会的性格
• 「他人指向型」
 • 周囲の人間と仲良くする

• 「ナルシシズム型」
 • 肥大化したナルシスティックな自己を守ること

日本の社会的性格のナルシシズム性
中野収「カプセル人間」「メディア・サイボーグ」
• 60年安保以降、「イデオロギーの終焉」 価値の多様化・多元化 個別主義
• 人と人との関係は疎遠 「もの」や「メディア」
• 孤絶した小宇宙の中でナルシスティックに
• 自足し自らを見つめている若者=「カプセル人間」
• メディアに囲まれて一体化=「メディアサイボーグ」
• 他者指向型の末裔
   中野収『ナルシスの現在-自愛と自虐の倫理』、時事通信社、1984。